ユーロ円でそろそろ円高ターンが来るかもしれない
いや待て待て待て。ようやくユーロが金利を上げだしたところやないか。今からさらに円安が進んでユーロ円が上がっていくでしょ。
という声が聞こえそうです。確かに今は円安が進む可能性が高い。まだ円安ターンだと思ってます。でも、少し先を見ると、このまま円安が進むとは思えないのです。それは、三つほど理由があります。
- 南欧諸国が金利高でギブアップ
- 貿易収支が赤字拡大でユーロが不安
- 景気後退で円が選好される
これらの問題が出てきて「ユーロってやばいよね」となる未来が見えるのです。これらは、今すぐというわけではなく徐々に徐々に進行し、一気に噴き出すと思ってます。その時には、すでに円高ターンに入っていると思われます。
南欧諸国が金利高でギブアップ
南欧諸国は、財政基盤の弱い国が多いです。いいかえれば借金が多い。借金は金利負担があります。金利が上がることによって利払いが増えます。それによってさらに財政基盤が弱くなる。負のスパイラルが金利高局面です。
ユーロ全体では金利の上げにも耐えることができますが、財政基盤の弱い南欧諸国は耐えることができない。インフレで金利を上げないといけないが、南欧諸国のために金利を上げることができないジレンマに陥る可能性があります。
その未来が見えているのか、ECB理事が「金利を数%上げることは簡単だ」と豪語しています。そんなことをわざわざいう必要はないし。先の決定では、金利を「0.25%」しか上げることができなかったECBが言う言葉ではないですね。
貿易収支の赤字拡大でユーロが不安
ウクライナ戦争によるロシアへの経済制裁で「ロシアからのエネルギーの輸入を段階的に縮小」ということを掲げています。ユーロ圏の強みは、ロシアからの格安のエネルギーを輸入していたということも言えます。ロシアからヨーロッパ各国へはパイプラインを通じて安価な天然ガスが送られていました。それを段階的に縮小廃止していくということが決議されています。
ロシアから輸入していたエネルギーをどこかから手当てする必要があります。そして、どこかから輸入しようが、「安価なエネルギーではなくなる」ということです。
輸入するエネルギーは物理的に遠くなるし、運搬しないといけないし、受け入れ基地もいりますし、天然ガスなら一度液化する必要があり受け入れ基地が必要です。
安いロシア産から高い「どこかから産」への転換でヨーロッパの貿易収支はかなり悪化します。貿易収支の悪化は、通貨が弱くなります。
景気後退で円が選好される
ECBは、インフレが高止まりすると予想しています。それを抑えるために金利を引き上げています。金利が上がると経済はどんどん縮小していき、やがては後退します。これは、アメリカも同じ状況です。アメリカ、ヨーロッパが景気後退となれば世界的に経済は縮小し、景気は後退します。
そうなったときに強いのは、資産持ちの日本円です。なんだかんだと日本のことをいいように言いませんが、世界的にみて日本円が経済後退局面で先行されてきたのは歴史が証明しています。
まとめ
三つほどユーロが弱くなるので、円を買ったほうがいい理由をあげました。
ただ、今すぐに円が強くなるとは思ってません、徐々に徐々に円高ターンが来ると思ってます。
ユーロの金利を上げる局面は1年は続くと見ています。そして、来年後半ぐらいになって南欧諸国がギブアップし、徐々に景気後退していき、円高ターンが来ると見ています。